嶋田知的財産事務所

見えないものの価値へのこだわり

的場の出願書類には独特のこだわりがある。代表図面の構成だ。代表図面、それは、出願された特許を周知するために特許庁が発行する公開公報の1ページ目に掲載される図面のことである。「図面ってとても大事です。正確に描いてあるだけじゃなく、技術の良さが一発でわかるように描きたいんです。」公報を片手に営業マンが自社商品を売り込む場面を思い描き、図面の構成を検討する。わかりやすい代表図面は、営業の武器になるからだ。当然、発明の利用が促進される。権利化することだけを考えていては、こういう発想は生まれない。

的場のこだわりは、目に見えない価値へのこだわりだ。弁理士の仕事は、出願する発明を文書にして始めて目に見えるものになる。作った文書の分量で報酬が決まることも多い。でも、文書にすべき発明を発明者から引き出し、どんな戦略で権利化するのかを設計するところが弁理士の醍醐味だと思ってしまう。分量を減らすアドバイスも迷わずする。
作った文書の量とは違った尺度で評価されたい、そんな想いで知財コンサルティング会社“(有)夢屋”を立ち上げたのが1998年。しかし、目に見えないサービスは評価されにくい。業界独特の商慣行が大きな壁となって立ちはだかる。この壁はまだ打ち破られたとは言い難い。
それでも、何を発明したかわからないような難しい案件や、社運をかけた重要な案件ほど「的場さん、来てください」と声がかかる。的場の目に見えないサービスが評価されている。【2010/7/1取材】

的場成夫 弁理士(有限会社夢屋、的場特許事務所代表弁理士)
1991年弁理士登録、1998年有限会社 夢屋設立、1999年的場特許事務所設立