嶋田知的財産事務所

知識を生み出す源泉は生きる姿勢

佐々木はマレーシアに本部のある国際NGO 「Science of Life Systems 24/7」のメンバーである。2010年に仲間とSOLS 24/7日本支部を立ち上げ、不登校・ひきこもりの若者の自立や、NGOを立ち上げたい学生や大人を支援するプログラムを、東南アジアの本部・支部と連携して進めている。

活動の柱は人財育成だ。「知識やスキルを身につけることよりも、死ぬまで成長していこうとするポジティブな姿勢を身に着けるほうがずっと大切」という。根っこをよくすれば、実は成るんだという考え方だ。
SOLS 24/7のメンバーとして、東南アジアの途上国で、7年間人財育成に携わってきた。遠くに男の子が見えるとすぐに隠れてしまうような引っ込み思案の女の子が、100人以上の前で歌えるようになる。道端でけんかばかりしていた不良少年が、シャツを着て保険会社で働くようになる。生徒たちと時を共にし、人が夢を持つこと、前向きな気持ちを持ち続けることの大切さを説き、背中を粘り強く押し続けると、人格がすこしずつ変わっていく。そんな経験を積み重ねてきた。

団体の名前SOLSは、Science Of Life Systemsの略である。人がよりよい人生を生きていくために必要なしくみを、創設者のMadenjit Singh氏と団体のメンバーが試行錯誤で発展させてきている。相手の手を握り、目を5秒間みつめて最後にハグをする、瓶の中の豆の数を数える・・・一つ一つの取り組みに、よりよい人生を生きるためのヒントが宿る。

自分たちが日本で立ち上げた事業だけではまだ生活が成り立たない。軌道にのるまで、他の仕事もしながらの忙しい毎日だ。人がよりよい人生を生きていくためには?今までの大切な経験を土台に試行錯誤はずっと続く。きっと死ぬまで。(Singh氏曰く「それがScientist」)。

日本でも、自分たちのような仕事の価値に共感し、社会を変えていく人たちが増えてほしいと思っている。でも、家族を養い、自立した生活がおくれるようにならなければ、仲間は寄ってこないはず。どうすればこういう仕事が持続可能になるのか?それに答えるのも自分たちの挑戦の一つだと考えている。【2011年12月10日(土)取材】

佐々木恵子(Science of Life Systems 24/7 プログラムコーディネータ)
2004年よりSOLS24/7のInternational Programに参加。同団体の教師としてカンボジア、東ティモールで活動。2010年より仲間と日本支部の設立に参加。